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ローカルLLMとAPIはどちらが安いか?損益分岐点シミュレーター【2026年8月版】

SHIRORASHI LAB NOTEINTERACTIVE / BREAK-EVEN公式料金・公式配布サイズ・利用者入力による試算(2026年8月1日再確認) / 更新 2026.08.01
目次8項目

GPU本体の償却と電気代を計算に入れて、クラウドAPIとローカルLLMのどちらが安くなるかを比較します。ローカル側はGPU名から速度や電力を推測せず、実際の環境で測った処理時間・メモリ使用量・消費電力を入力して試算します。

ローカルLLMの利点として「APIの従量課金が不要になる」という説明をよく見かけます。しかしこれはサービス利用料がゼロになるという意味であり、費用がゼロになるという意味ではありません。GPUやPCの購入費と電気代は確実に発生します。

先に結論を書くと、個人の一般的な使い方ではAPIの方が安く済む条件が多くなります。このツールはGPUの購入を後押しするものではなく、逆転に必要な利用量を具体的な数字で確認するための概算ツールです。

ローカルLLM自体をまだ使ったことがない場合は、先にローカルLLMとは何かをゼロから説明した入門記事を読むと、クラウドAIとの違いを整理できます。

「ローカルは無料」に含まれていない3つの費用

ローカルLLMの月額コストは、大きく3つに分かれます。

費用性質月額の目安
GPU・PCの償却固定費。使っても使わなくても発生する購入額と償却年数による
電気代変動費。生成時間と待機時間に応じて増える数十円〜数千円以上
構築と保守の工数見落とされやすく、金額換算すると大きい人と運用方法による

ここで重要なのは、GPUの償却が固定費だという点です。20万円のGPUを3年で償却するなら、月に10回しか使わなくても月あたり約5,556円が乗ります。一方、APIは使った分だけ増える変動費です。

両者の基本的な関係は次のようになります。

方法コスト構造
API1回あたりの入出力料金 × リクエスト数
ローカルGPU償却 + 待機電力 + 生成時の電気代

ローカル側には最初から固定費があるため、リクエスト数が少ないうちはAPIが安く、利用量が増えると変動費の差で固定費を回収できる可能性が出ます。この交点が損益分岐点です。

損益分岐点を計算する

使い方の規模と比較したいAPIを選び、ローカル側には実測値を入力してください。ゲームや動画編集にも使うGPUなら、購入額の全額ではなくLLM用途へ割り当てる金額を入力すると実感に近づきます。

ローカル側で必要なのは、同じプロンプトを何度か実行して求めた「入力開始から回答完了までの平均秒数」、モデル重み・KVキャッシュ・ランタイムを含む総メモリ使用量、処理中と待機中の壁コンセント側消費電力です。ワットチェッカーがない場合は、消費電力だけメーカー公称値などで仮置きできますが、その結果は実測より不確かになります。

元の試作版からローカルモデルを増やし、Qwen、Gemma、Llama、DeepSeek、Phi、gpt-oss、Mistralの23モデルを選べるようにしました。

INTERACTIVE TOOL

実測値で比べる ローカルLLM vs API 損益分岐点

23ローカルモデル・24 APIモデル
1. 使い方の規模

reasoning・thinkingトークンを請求するAPIでは、それらを含むusageの平均値を入力してください。

2. 比較するAPI

入力 $0.15 / 出力 $0.6(100万トークン)

円 / USD
3. ローカルの実測条件

専用VRAM。ほかのアプリの使用分を差し引いてください

GB

GPU単体価格とPC総額を混ぜず、LLM用途へ実際に割り当てる金額を入力してください。初期値は0円です。

Q4_K_M・重み約8.6GB・汎用・日本語

GB

モデル重み、KVキャッシュ、ランタイム、mmprojを含む実測値を入力します。初期値は重み+3GBの仮値です。

入力処理から回答完了まで、比較に使うプロンプトの平均時間を入力してください。

W
W
円 / kWh
入力した条件ではローカルが安い入力した実測条件では、ローカルの方が月¥98安い試算です。

入力した1回あたり処理時間で、1台が1か月に処理できる上限まで使っても損益分岐点へ到達しません。

API 月額¥279GPT-4o mini・1回あたり ¥0
ローカル 月額¥181償却 ¥0+処理中電気 ¥181
1回の処理時間 20.0月間処理時間 16.7時間1台の処理上限 131,400回/月総メモリ使用量 11.6 / 16.0GB

API料金以外は自動推定していません。実際に使うモデル・量子化・コンテキスト長・ランタイムで測った「1回の処理時間」「総メモリ使用量」「壁コンセント側の消費電力」を入力してください。初期値は操作例であり、特定構成の実測値ではありません。キャッシュ割引、Batch API、税金、保守工数、冗長化、複数台構成は含みません。

入力した総メモリ使用量が利用可能メモリを超えた場合と、月間処理時間が1台あたり730時間を超えた場合は、比較結果を無効にします。CPUオフロードを使う場合は、オフロード後の処理時間とメモリ使用量を入力してください。

Qwen3.6-35B-A3Bは、配布元によってQ4系GGUFのサイズが異なります。通常のQ4_K_Mには約20.4〜21.2GBの例がありますが、モデル欄では安全側の参考値としてUnslothのUD-Q4_K_M約22.1GBを表示しています。これは重みファイルの参考値で、収容判定には利用者が入力した総メモリ使用量を使います。

gpt-oss-20bは、OpenAIが案内する「16GBメモリの環境で動作可能」というシステム要件をモデル重みの容量としては扱いません。モデル欄には公式MXFP4チェックポイント約13.8GBを表示します。gpt-oss-120bも同様に、80GBは公式の実行環境目安であり、重みファイルの表示値には公式配布ファイル約65.2GBを使います。

Gemma 4 E4BはQ4 GGUF約5.15GB、Gemma 4 26B-A4BはQ4_0約14.8GBをモデル本体の目安にしています。マルチモーダル入力に必要なmmprojは、E4Bでは約0.99GB、Qwen3.6-35B-A3BではBF16版約0.90GBが別途必要です。総メモリ使用量には、これらの追加ファイルも含めてください。

どのモデルを選べばよいか迷った場合は、2026年版ローカルLLMおすすめランキングで用途と必要構成を比較してください。

選べるローカルモデルを23種類へ拡張

同じ「ローカルLLM」でも、2B級の軽量モデルと70B以上の大型モデルでは、必要メモリも回答品質も大きく異なります。損益分岐点だけを比べると小型モデルが有利に見えるため、実際の用途を満たすモデル同士で比較することが重要です。

系列シミュレーターに入れたモデル
Google GemmaGemma 4 E2B、E4B、12B、26B-A4B、31B
QwenQwen3 4B、8B、14B、32B、30B-A3B、Qwen3-Coder 30B-A3B、Qwen3.6-35B-A3B
Meta LlamaLlama 3.1 8B、Llama 3.3 70B
DeepSeekR1 Distill Llama 8B、Qwen 14B、Qwen 32B、Llama 70B
MicrosoftPhi-4 14B
OpenAIgpt-oss-20b、gpt-oss-120b
MistralMistral Small 3.1 24B、Mistral Small 4

小型モデルは安く速く動かしやすい一方、複雑なコード生成、長文推論、ツール利用ではクラウドの上位モデルと同じ仕事ができるとは限りません。大型モデルやMoEモデルは高品質を狙えますが、モデル全体を読み込むメモリが必要です。

この計算機の計算方法

API側

APIの月額は次の式で計算します。

月額 = リクエスト数 × (入力トークン × 入力単価 + 出力トークン × 出力単価) ÷ 100万 × 為替レート

料金は各社が公開している標準API単価を使います。プロンプトキャッシュ、Batch API、長文コンテキスト時の割増、ツール利用料、税金は反映していません。

API側だけを複数社・複数モデルで詳しく比べたい場合は、同じ料金表を使う主要LLMのAPI月額コストシミュレーターを利用してください。

ローカル側

GPUの公称メモリ帯域やTDPだけでは、特定モデルの生成速度とPC全体の消費電力を正確に決められません。MoEの共有層、Attention、KVキャッシュ、量子化カーネル、ランタイム、CPUオフロードなどが影響するためです。そのため本ツールでは、次の実測値を直接使います。

  • 月間処理時間 = リクエスト数 × 1回の実測処理秒数 ÷ 3600
  • 処理中の電気代 = 月間処理時間 × 処理中の実測W ÷ 1000 × 電気料金単価
  • 待機中の電気代 = 待機時間 × 待機中の実測W ÷ 1000 × 電気料金単価
  • ハードウェア償却 = LLM用途へ割り当てた購入費 ÷ (償却年数 × 12)

1回の処理時間は、出力だけのtok/sではなく、入力処理から回答完了までの秒数を使います。これにより、長い入力のプリフィルやCPUオフロードの影響も実測値へ含められます。

24時間運用を選ぶと、処理していない時間の待機電力も加算します。月間処理時間が730時間を超える条件は1台では実行できないため、損益判定を行いません。複数台で処理する場合は、台数分の購入費と電力を別途入力・計算する必要があります。

結果を見るときの注意点

1. 品質が同じ前提ではない

これが最も重要な注意点です。ローカルの14Bモデルとクラウドの最上位モデルを金額だけで比べても、実務上は同じ仕事をしていません。安いという結果は、同じ品質で安いという意味ではありません

比較としてある程度成立しやすいのは、用途を固定し、実際のプロンプトで合格基準を満たしたモデル同士です。最初に品質と失敗率を確認し、その後で費用を比較してください。

2. 工数が入っていない

環境構築、モデルの入れ替え、ランタイムの更新、動かなくなったときの調査時間は含めていません。仮に月2時間を時給3,000円で換算すると月6,000円です。これは個人向けGPUの月間償却額と同程度になる場合があります。

趣味として楽しめる時間なのか、業務時間を削る保守作業なのかで評価は変わります。

3. 入力した実測値の条件にだけ当てはまる

処理時間と消費電力は、ランタイム、量子化方式、コンテキスト長、CPUオフロード、ドライバ、GPUバックエンド、同時実行数で変わります。短いプロンプトで測った値を、そのまま長文処理へ使わないでください。

総メモリ使用量には、モデル本体だけでなくKVキャッシュ、ランタイム、画像入力時のmmprojなども含めます。実測前の候補選びにはGPUとコンテキスト長で分かるローカルLLMメモリ概算ツールを使い、最後はタスクマネージャーやランタイム表示で確認してください。

4. 同時実行やキャッシュ条件をそろえる

1回の実測処理時間には入力処理も含められますが、KVキャッシュの再利用、バッチ処理、投機的デコード、複数ユーザーの同時実行を試す場合は、同じ条件で測定してください。API側もキャッシュ割引やBatch APIを使う場合は、標準単価の比較結果と一致しません。

業務サービスのように同時リクエストがある場合は、1台の損益分岐点だけでなく、必要なGPU台数、冗長化、監視、障害対応まで含めてください。

5. GPUの用途がLLM専用とは限らない

ゲームや動画編集のために購入済みのGPUなら、購入費の全額をLLM分として償却するのは実態に合いません。シミュレーターの「購入費のうちLLM用途分」には、LLM用途へ割り当てたい金額だけを入力できます。

すでに持っているGPUを余暇時間だけ使う場合は0円に近づける考え方もあります。ただし、買い替えの前倒し、故障リスク、ストレージ、電気代は残ります。

コスト以外にローカルを選ぶ理由

ローカルLLMが選ばれる理由の多くは、純粋な料金差だけではありません。

  • データを外部へ送信しない:業務コードや個人情報を扱う場合、外部APIへ送れないことがあります
  • 従量課金を気にせず試せる:試行回数を増やしやすく、失敗を恐れず調整できます
  • ネットワークに依存しない:オフラインで動かせ、API障害の影響を受けません
  • モデルを手元に残せる:APIモデルの提供終了や仕様変更に左右されにくくなります
  • 推論設定を自分で決められる:量子化、サンプリング、システムプロンプト、ランタイムを選べます

逆に、これらの理由が当てはまらず純粋にコストだけが目的なら、多くの個人利用ではAPIの方が簡単で合理的です。

公式資料と前提

API料金とモデル仕様は、2026年8月1日時点で次の公式資料・公式配布元を参照しました。料金、モデル、配布形式は変更されるため、購入やサービス設計の前にリンク先を再確認してください。

まとめ

ローカルLLMは「月額ゼロ」ではなく、GPU償却という固定費を先に払い、APIとの1回あたりの差額で回収する方式です。したがって比較の中心は、単価そのものではなく固定費を変動費の差額で回収できるかです。

損益分岐点へ届かなくても、プライバシー、オフライン動作、学習や趣味としての価値があればローカルを選ぶ理由はあります。反対に、利用頻度が低く、上位モデルの品質が必要で、環境保守へ時間を使いたくない場合はAPIが有力です。

次に試すモデルを選ぶならローカルLLMおすすめランキング、自分のGPUへ収まるかを確認するならメモリ概算ツール、APIだけを横並びで比較するならAPI料金シミュレーターを利用してください。

シロラシ
シロラシ — この記事を書いた人

開発・運用保守・インフラ・セキュリティに携わる新米エンジニア。趣味や勉強で試したことを、実体験とともに記録しています。

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