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AI翻訳・吹き替えサービス比較|動画の多言語化に使うならどれ?【2026年版】

SHIRORASHI LAB NOTEDUBBING / LOCALIZE公式資料確認(2026年8月1日時点) / 更新 2026.08.01
目次16項目

日本語で作った動画を海外向けに公開するとき、字幕だけでなく、別の言語の音声まで自動で作れるのがAI吹き替えサービスです。近年は翻訳と音声合成に加え、元の話者らしい声を保つボイスクローンや、翻訳後の発音に口の動きを合わせるリップシンクにも対応するサービスが増えました。

ただし、対応言語数だけを見て選ぶと失敗します。翻訳文を修正できるか、固有名詞を辞書へ登録できるか、複数話者を分離できるか、商用動画で使える契約かまで確認が必要です。

この記事では、次の4サービスを公式資料に基づいて比較します。

  • ElevenLabs Dubbing
  • HeyGen Video Translation
  • Rask AI
  • Synthesia AI Dubbing
筆者は4サービスを同一動画で実測して順位付けしたわけではありません。そのため、音質や翻訳精度のランキングは作らず、2026年8月1日時点で公式に確認できる機能と条件を整理しています。価格、クレジット消費、対応言語、プランは変わりやすいため、契約直前に公式ページで再確認してください。

先に結論:用途別の早見表

やりたいこと候補選ぶ理由契約前の注意
音声品質と話者の雰囲気を重視したいElevenLabs複数話者の分離、背景音維持、声の特徴を保った多言語化を案内最新の自動処理はDubbing v2。詳細編集は旧V1のDubbing Studio
口の動きまで合わせたマーケティング動画を作りたいHeyGen音声のみとリップシンク付き、速度重視と精度重視を選べるリップシンクは正面に近い人物動画向け。画面上の文字は翻訳されない
用語集や大量動画を管理したいRask AI翻訳辞書、SRT入出力、複数言語、バルク処理を案内Enhanced Lip-syncは追加の分数を消費し、ベータ価格
研修・説明動画を多言語展開したいSynthesiaAI Dubbingと動画制作環境をまとめて使え、リップシンクも選択可能吹き替えは画面内テキストを翻訳しない。クレジット消費が大きい
人が最終確認する本格ローカライズどれか1つに固定しないAIで下訳・音声生成し、翻訳者と編集者が固有名詞、表現、同期を確認AI出力をそのまま公開しない検品工程が重要

「最も高機能な1社」を探すより、動画の種類と修正工程に合うサービスを選ぶ方が現実的です。

比較方法

今回は次の8項目を比較軸にしました。

比較軸確認する理由
対応言語翻訳先に対応していても、ボイスクローンやリップシンクは対象外の場合がある
複数話者対談やインタビューでは話者の分離と割り当てが必要
翻訳文の修正固有名詞、製品名、専門用語を人が直せるか
リップシンク音声だけでよい動画と、口元まで合わせたい広告では要件が違う
字幕入出力SRTなどを渡せると翻訳者との分業がしやすい
料金単位月額だけでなく、1分・1言語ごとの消費を確認する
商用利用無料プランと有料プラン、個人と法人で条件が異なる
データと権利出演者の顔・声、顧客情報、未公開動画をアップロードできる契約か

AI吹き替えの処理を図で理解する

字幕翻訳とは違い、AI吹き替えは複数の処理を連続して行います。

元動画の分析から文字起こし、翻訳、音声生成、リップシンク、書き出し、人による最終確認までのAI吹き替え工程

*AI吹き替えは、文字起こしの誤りが翻訳と音声へ連鎖します。工程ごとに確認すると修正箇所を見つけやすくなります。*

途中の文字起こしが間違っていれば、翻訳も音声も連鎖的に間違います。最終動画だけを見るのではなく、文字起こし→翻訳→音声→映像の順に確認すると修正箇所を見つけやすくなります。

主要4サービスの比較表

サービス公式に案内される対応範囲リップシンク台本・用語の修正料金の考え方商用利用で重要な点
ElevenLabsDubbing v2は90以上の言語、話者分離、背景音維持Dubbing単体には標準搭載されず、Image & Video等の第三者モデル経由V2は自動処理。詳細編集は旧V1のDubbing Studio自動処理・Studio・透かし有無でクレジット消費が異なる商用ライセンスは有料プラン。入力する映像と声の権利が必要
HeyGen多数の言語・地域アクセント。1ジョブ最大10言語を案内Video Dubbingで対応Pro以上で校正、Brand GlossaryなどSpeed 5、Precision 10クレジット/分。音声のみは別枠自作・許諾済み映像を使用。画面内文字は別途翻訳
Rask AI135以上の言語、声の複製は32言語と公式料金ページに記載StandardとEnhancedを用意翻訳辞書、タイムライン、SRT入出力翻訳1分×言語数。Enhanced Lip-syncは追加消費出演者の同意とアップロード権限が必要。解約後の保存期限も確認
SynthesiaAI Dubbingで134言語を案内生成時にオン・オフ可能翻訳・音声・スタイルを編集可能通常吹き替え120、リップシンク付き240クレジット/分の案内アップロードできる権利を持つ動画のみ。画面内テキストは対象外

対応言語数は「日本語から全言語へ、同じ品質で声を維持できる」という意味ではありません。翻訳、音声合成、声の複製、リップシンクで対応範囲が別になっていることがあります。

ElevenLabs:声と背景音を保った吹き替え

ElevenLabsの公式ドキュメントでは、Dubbingが90以上の言語に対応し、複数話者を検出して、元の背景音を残しながら音声を置き換える機能として案内されています。自動のDubbing v2と、細かく編集できる従来のDubbing Studioは同じものではありません。

現在の重要な違い

  • Automatic Dubbing:最新の自動処理。公式ドキュメントでは、現時点で使用モデルを「Dubbing v2 Alpha」と表記
  • Dubbing Studio:文字起こし、翻訳、話者割り当て、クリップ単位の再生成が可能
  • Dubbing StudioはV1モデル側にあり、メンテナンスモード
  • V2はWebで最大2GB・180分、Studioは最大1GB・45分と公式案内
  • 無料プランのV2出力には透かしが入り、有料プランは透かしなし
  • Dubbing単体にはリップシンクがなく、別のImage & Video、Flows、Studio内の第三者モデルを使う構成

料金ページでは、自動吹き替え、透かしの有無、Dubbing Studioによって1分当たりのクレジット消費が変わります。また、Starter以上に商用ライセンスが含まれる案内です。無料版で確認し、有料プランへ切り替えて商用成果物を生成する流れが安全です。

データ面では、Enterprise向けのZero Retention Modeが公開されていますが、公式表ではDubbingの入出力は同モードに対応していません。未公開作品や機密会議を扱う場合は、「Enterpriseなら全部即時削除」と思い込まず、Dubbing固有の保存条件を営業窓口へ確認する必要があります。

HeyGen:音声だけとリップシンク付きを選択

HeyGenは、音声だけを翻訳するAudio Dubbingと、口の動きも変えるVideo Dubbingを分けています。2026年5月更新の公式ガイドでは、Video DubbingにSpeedとPrecisionの2モードがあり、それぞれ5クレジット/分、10クレジット/分と案内されています。

同じ公式ガイド内で、Audio Dubbingについて「有料プランでは無制限でクレジットを使わない」という説明と「2クレジット/分」という説明が併記されています。料金判断では記事の一方だけを採用せず、自分の契約画面に表示される消費量を生成前に確認してください。

向いている動画

  • 1人または単純な対話
  • 話者が正面から約45度以内
  • 顔や口元が手、マイク、字幕で隠れていない
  • カットが少なく、話者がカメラに近い
  • 商品名をBrand Glossaryへ登録できる企業動画

Precisionは横顔、遮蔽、複数話者など難しい映像を想定したモードですが、成功を保証するものではありません。先に短い区間で確認してから、長編や複数言語へ展開すると無駄な消費を減らせます。

注意点は、翻訳対象が話し声であり、看板、スライド、焼き付け字幕などの画面内文字は翻訳されないことです。動画内テキストは編集ソフトで別に差し替えます。

Rask AI:辞書・字幕・大量処理を重視

Rask AIの料金ページは135以上の言語への翻訳と、32言語での声の複製を案内しています。翻訳辞書では、製品名を翻訳しない指定や、専門用語の訳語を固定できます。SRTの入出力やバルク処理も案内されており、動画を継続的に多言語化する運用に向きます。

分数の数え方

5分の動画を3言語へ翻訳する場合、基本の翻訳だけで15分を消費します。公式価格ページでは次のように説明されています。

処理消費例
翻訳完成動画1分につき1分
Standard Lip-sync動画1分につき1分
Enhanced Lip-sync動画1分につき3分

Enhanced Lip-syncはベータで、価格が変わる可能性が明記されています。月額プランの「収録分数」だけでなく、翻訳先の数とリップシンク方式を掛け合わせて見積もります。

規約では、顧客がアップロードデータと顧客向けに生成されたVideo Outputを保持すると説明する一方、必要な権利・同意は利用者が確保する必要があります。また、解約後3か月を超えて非アクティブなアカウントや、作成から3か月を経過した無料アカウントのコンテンツ削除条件が記載されています。完成動画、SRT、用語集はローカルにも保存してください。

なお、Rask AIの公式規約ページには、2026年8月24日に新しい規約が発効する案内があります。本記事は7月31日時点で有効な規約を確認していますが、8月24日以降に契約・公開する場合は新規約を読み直してください。

Synthesia:研修動画制作と多言語化をまとめる

SynthesiaのAI Dubbingは全プランで利用でき、公式ヘルプでは134言語、MP4・MOV・WebM、最大5GBまたは2.5時間、最大4Kの入力を案内しています。リップシンクをオンにするか選べ、翻訳後の動画時間は次の2方式です。

  • Adaptive:翻訳音声に合わせて動画の再生時間を調整
  • Original:元動画の長さを保ち、音声側を調整

研修や手順動画ならAdaptiveが使いやすい一方、画面操作と発話タイミングを一致させたい動画では、速度変化が説明内容とずれないか確認が必要です。

公式のクレジット案内では、AI Dubbingはリップシンクなしが120クレジット/分、ありは240クレジット/分です。単純な月額比較よりも、1本の長さ×言語数×リップシンク有無で必要クレジットを計算します。

Synthesiaも画面内の字幕・タイトル・図表を翻訳しません。スライド文字の差し替えと、音声の吹き替えを別工程として計画します。

料金は「動画の長さ×言語数×追加処理」で計算する

月額料金だけでは実際の費用を比較できません。次の式で見積もると整理しやすくなります。

text
基本処理量 = 元動画の分数 × 翻訳先の言語数

総コスト = 基本処理量
          + リップシンクの追加消費
          + 再生成・修正
          + 人による翻訳確認

10分動画を5言語へ翻訳すれば、基本だけで50分相当です。サービスによっては、口の同期や高精度モードが追加消費になります。誤訳を直して再生成する分も予備費に含めます。

商用利用では4種類の権利を確認する

AI吹き替えはサービスの商用ライセンスだけで完結しません。

対象確認内容
映像動画をアップロード・翻案・公開できるか依頼主から預かったCM、購入素材、テレビ映像
顔・肖像出演者がAI処理と多言語公開に同意したか社員、顧客、俳優、未成年者
ボイスクローンと別言語での再現に同意したかナレーター契約が元言語だけの場合
台本・音楽翻訳、改変、地域展開を許可されているか原作、BGM、効果音、第三者の引用

本人が元動画への出演を許可していても、声の複製や、別の言語で本人が発言したように見せることまで同意しているとは限りません。案件では同意範囲を文書化します。

失敗を減らす制作手順

  1. 元動画の権利と出演者同意を確認する
  2. 30秒から1分の代表区間を選ぶ
  3. 文字起こしを修正する
  4. 固有名詞を辞書へ登録する
  5. まず1言語だけ生成する
  6. 母語話者が意味、敬語、文化的表現を確認する
  7. 口元、話者割り当て、背景音を確認する
  8. 問題がなければ残りの言語を生成する
  9. 画面内文字と字幕を別途翻訳する
  10. 元動画、翻訳文、同意書、最終版を保管する

特に医療、法律、安全手順、製品保証、決算説明など、誤訳が実害につながる動画は専門家の確認が必要です。

用途別の選び方

YouTube動画を少数の言語へ広げたい

声の自然さを重視するならElevenLabs、人物の口元まで合わせたいならHeyGenやRask AIを候補にします。まず短い動画で無料枠・試用枠を使い、透かしと商用条件を確認します。

研修動画を大量展開したい

Rask AIの辞書・SRT・バルク処理、またはSynthesiaの動画制作・翻訳環境が候補です。LMS連携、チーム承認、SSOなどが必要なら個人向けプランではなく法人機能を確認します。

対談やインタビューを翻訳したい

複数話者の検出と背景音維持を確認します。話者が同時に話す場面、笑い声、固有名詞、BGMが大きい場面をテスト区間に含めてください。

広告や企業案件へ使いたい

精度だけでなく、同意記録、データ保存地域、削除、秘密保持、損害補償、サポート窓口を確認します。一般向け有料プランに「商用利用可」とあっても、企業のセキュリティ要件を満たすとは限りません。

公開前チェックリスト

  • [ ] 元動画を翻訳・加工できる権利がある
  • [ ] 出演者から顔と声のAI利用について同意を得た
  • [ ] 無料・有料プランの商用利用条件を確認した
  • [ ] 翻訳先ごとに母語話者が確認した
  • [ ] 会社名、製品名、人名、単位、数値を確認した
  • [ ] 画面内の文字と字幕も翻訳した
  • [ ] 口元、話者、背景音のずれを確認した
  • [ ] AIによる翻訳・吹き替えであることを必要に応じて表示した
  • [ ] 元動画、同意書、翻訳文、書き出しファイルを保存した
  • [ ] 公開直前に利用規約と料金を再確認した

まとめ

AI吹き替えサービスは、言語数だけで選ぶものではありません。

  • 声と背景音を重視するならElevenLabs
  • リップシンク付きの人物動画ならHeyGen
  • 辞書・SRT・大量処理ならRask AI
  • 研修動画の制作環境までまとめるならSynthesia

という違いがあります。ただし、実際の品質は話者、録音、言語の組み合わせで変わります。短い代表区間で試し、人の確認を入れてから本番へ広げるのが安全です。

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公式資料

以下は2026年8月1日に確認しました。

各サービスは機能更新が速く、ベータ機能、クレジット消費、対応言語、保存期間が変更されます。この記事の表は判断の入口として使い、公開・契約直前に必ず公式原文を確認してください。
シロラシ
シロラシ — この記事を書いた人

開発・運用保守・インフラ・セキュリティに携わる新米エンジニア。趣味や勉強で試したことを、実体験とともに記録しています。

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