無料で商用利用できるオリジナルAI音声の作り方|VoxCPM2×Style-Bert-VITS2【2026年版】
目次20項目
オリジナル音声を作成したい場合、クラウド型音声生成AIを使用する方法だけでなく、声質の設計から学習までをローカルPCで行う方法があります。
今回扱うのは、VoxCPM2のVoice Designで実在人物を元にしない架空の声を作り、その声から学習用WAVを増やし、Style-Bert-VITS2で軽量な音声合成モデルへ仕上げる流れです。クラウドの従量課金APIを使わないため、ソフトとモデルは無料で導入できます。
ただし、最初に重要な注意があります。「無料」「商用利用可能」「オリジナル」は同じ意味ではありません。 ソフトのライセンスが商用利用を認めていても、無断で他人の声を参照すれば安全にはなりません。また、AIが設計した声が世界で唯一であることや、第三者の声に偶然似ないことも保証されません。
この記事では、実際の作業フォルダーの構成と生成結果を確認しつつ、個人名、キャラクター名、長い本番コード、参照音声そのものは掲載せず、初心者が全体を理解できる公開用の手順へ整理します。
この記事は法的助言ではありません。収益化、音声モデルの販売、クライアント案件、他者の声を扱う企画では、公開時点の公式ライセンスと利用地域の法律を確認してください。
先に結論:条件を守れば記事化・商用利用を検討できる
2026年8月20日時点の公式情報では、条件を満たした商用制作や、この制作方法の解説を一律に禁止する記載は確認できませんでした。ただし、日本での個別案件の適法性や第三者の権利を保証するものではありません。使用するソフト・モデル・音声データ・公開方法ごとに条件を確認します。
| 確認対象 | 現在確認できる条件 | この記事での判断 |
|---|---|---|
| VoxCPM2のコード・モデル重み | Apache-2.0。公式READMEは商用利用可能と案内 | 商用制作に利用できる |
| Style-Bert-VITS2本体 | AGPL-3.0。一部モジュールはLGPL-3.0 | 商用利用禁止ではないが、改変・配布・ネットワーク提供時の義務を確認 |
| JP-Extra事前学習モデル | Hugging Face上でAGPL-3.0 | 学習済みモデルを配布・販売する場合は特に確認が必要 |
| Voice Designで作る基準音声 | 実在人物の参照音声を使わず生成 | 権利リスクを減らせるが、唯一性は保証されない |
| 自分の声を参照する場合 | 本人である自分が用途を決められる | 比較的明確。ただし契約中の事務所・案件条件があれば別途確認 |
| 他人の声を参照する場合 | 本人・権利者から用途を明示した許諾が必要 | 許諾なしでは使用しない |
| 生成音声の公開 | 詐欺、なりすまし、偽情報へ使わず、AI音声と分かる表示を推奨 | AI VTuberの概要欄などにAI合成音声と明記する |
VoxCPM2公式READMEは、コードとモデル重みをApache-2.0で公開し、商用利用可能と説明しています。一方、同じ公式リポジトリの商用利用に関するIssueで開発側が示しているのは、使用データの商用利用を制限する規定は「現行の中国法上はない」という見解です。学習データの詳細は営業秘密を理由に開示されておらず、日本を含む利用国・地域での適法性と参照音声の許諾は、利用者自身が確認する必要があります。
Style-Bert-VITS2公式リポジトリはAGPL-3.0です。料金を取ること自体を禁止するライセンスではありません。ただし、改変版を配布したり、改変したプログラムをネットワーク越しに利用させたりする場合は、対応するソースコードの提供などが必要になる可能性があります。音声を動画で使うことと、ソフトや学習済みモデルを配布することは分けて考えます。
また、公式のお願いとデフォルトモデルの利用規約では、使用する音声モデル固有の規約を確認するよう案内されています。この記事ではデフォルトのキャラクター音声を完成品として使わず、自分で権利を整理したデータから別モデルを学習します。

「オリジナル音声」の意味
この記事でいうオリジナル音声は、実在人物の声を指定せず、自分で声質の条件を決めて生成し、自分のキャラクター用に学習した音声という意味です。
次の意味ではありません。
- 世界に一つしか存在しないと法的に保証された声
- 著作権、商標権、パブリシティ権などを自動的に独占できる声
- 偶然ほかの人へ似る可能性がゼロの声
- ソフトのライセンス確認を今後しなくてよい声
声の候補を選ぶときは「特定の声優・配信者のように」と指定せず、高さ、速さ、明るさ、落ち着き、息の量、聞き疲れしにくさのような一般的な特徴で設計します。
今回作るもの
完成形は、文章を入力するとAI VTuber用の音声を返すローカル音声モデルです。

流れは次の5段階です。
- VoxCPM2のVoice Designで架空の声を複数作る
- 聴き比べて基準となるWAVを1本選ぶ
- 基準音声から短い学習用WAVを複数作る
- Style-Bert-VITS2で前処理・学習する
- 学習後のモデルを試聴し、AI VTuberなどでの応用方法を確認する
VoxCPM2をそのまま読み上げへ使う方法もあります。それでも音声は作れますが、AI VTuberで繰り返し使う場合は、同じキャラクターらしさ、感情スタイル、呼び出しやすさを整えるため、この記事ではStyle-Bert-VITS2へ学習させます。
必要なPCと費用
無料になるもの・ならないもの
| 項目 | 費用の考え方 |
|---|---|
| VoxCPM2 | コード・重みを無料で取得できる |
| Style-Bert-VITS2 | 無料で取得できる |
| ローカルでの音声生成 | 1文字ごとのAPI料金はかからない |
| 学習 | クラウドを使わなければサービス利用料はかからない |
| PC・GPU | すでに持っていなければ購入費がかかる |
| 電気代・ストレージ | 無料ではない |
| 商用案件の法務確認 | 必要に応じて別途費用がかかる |
したがって、正確には「対応PCをすでに持っていれば、追加のソフト利用料なしで作れる」方法です。
推奨環境

| 項目 | 目安 |
|---|---|
| OS | Windows 11 |
| GPU | NVIDIA GPUを推奨。Style-Bert-VITS2の学習にはNVIDIA GPUが必要 |
| VRAM | VoxCPM2公式モデルカードの使用量目安は約8GB。今回の確認環境は16GB。約8GBはVoxCPM2単体の目安であり、全工程の動作を保証する最小要件ではない |
| メモリ | 32GB以上を推奨。今回の確認環境は64GB |
| 空き容量 | モデル、2つの仮想環境、WAV、学習結果を含め、余裕を見て40GB以上を推奨 |
| Python | VoxCPM公式は3.10〜3.12を案内。3.10〜3.11がより多く検証されている |
| CUDA | VoxCPM公式はGPU利用時にCUDA 12.0以上を案内 |
VoxCPM公式インストール資料では、CPU推論も案内されています。ただし、候補音声や数百件の学習データをCPUだけで作ると時間がかかります。
Style-Bert-VITS2公式READMEでは、NVIDIA GPUがない場合でも音声合成はできますが、学習はできないと説明されています。この記事の全工程をローカルで進める場合は、NVIDIA GPU搭載PCを前提にします。
※ RTX 50シリーズなど、この記事の標準インストール手順では学習に使用できないGPUがあります。対象となるGPUと理由は「手順6」で確認してください。
作業前に決める4つのルール
環境構築より先に、次を決めて記録します。
- 実在人物の名前や声を設計プロンプトへ入れない
- 参照音声を使う場合は、自分の声または用途まで許諾された声だけにする
- 生成物を「本人の肉声」として見せない
- 使ったソフト、モデル、ライセンスURL、確認日を残す
おすすめの記録例です。
project: fictional_vtuber_voice_v1
voice_source: VoxCPM2 Voice Design(実在人物の参照なし)
model: openbmb/VoxCPM2
commercial_check_date: 2026-08-20
sbv2_base: Style-Bert-VITS2 JP-Extra
publish_label: AI合成音声を使用このメモを学習済みモデルと同じフォルダーへ保存すると、後から確認しやすくなります。
手順1:VoxCPM2用の環境を作る
1. 作業フォルダーを用意する
エクスプローラーでC:\ai-voiceを作ります。日本語、空白、記号を含まない短いパスにすると、依存ツールのパス問題を減らせます。
2. PowerShellを開く
スタートメニューでPowerShellを検索して開き、次を実行します。以下はPython 3.11を使う例です。
cd C:\ai-voice
py -3.11 -m venv .venv
.\.venv\Scripts\Activate.ps1
python -m pip install --upgrade pip
pip install voxcpm==2.0.3 soundfile実行ポリシーで仮想環境を有効化できない場合は、PowerShellを閉じず、次のように仮想環境内のPythonを直接指定できます。
.\.venv\Scripts\python.exe -m pip install --upgrade pip
.\.venv\Scripts\python.exe -m pip install voxcpm==2.0.3 soundfile2.0.3は2026年8月20日時点のPyPI版VoxCPMです。バージョンを固定すると、後日同じ手順を再現しやすくなります。新しい版を使う場合は番号を読み替え、実際に入った版をpip show voxcpmで記録してください。
3. インストールを確認する
.\.venv\Scripts\python.exe -c "from voxcpm import VoxCPM; print('VoxCPM is ready')"VoxCPM is readyと表示されれば、Pythonからパッケージを読み込めています。これはまだモデルの読み込み確認ではありません。最初にモデルを使うときは、VoxCPM2モデルの約5GBのファイルがダウンロードされます。
4. GPUを確認する
.\.venv\Scripts\python.exe -c "import torch; print(torch.__version__); print(torch.cuda.is_available()); print(torch.cuda.get_device_name(0) if torch.cuda.is_available() else 'CPU')"TrueとGPU名が出ればPyTorchはGPUを認識しています。ただし、対応していないCUDAカーネルは実際の生成時に初めてエラーになることがあります。次の小さな候補生成までを動作確認に含めます。
手順2:Voice Designで架空の声を作る
VoxCPM2のVoice Designは、参照音声を与えず、自然言語で声の特徴を指定できます。

指定する特徴
最初は次の6項目から、必要なものだけを組み合わせます。
- 声の高さ:低め、中間、高め
- 明るさ:落ち着き、親しみ、元気
- 話す速さ:ゆっくり、標準、やや速め
- 音の質感:柔らかい、明瞭、息が少ない
- 用途:長時間配信でも聞き疲れしにくい
- 除外条件:叫ばない、ささやき過ぎない、実在人物を模倣しない
年齢や性別の指定は便利ですが、キャラクター設定へ必要な範囲にとどめます。実在人物の名前、作品キャラクター名、声優名を入れないでください。
サンプルコード
次をmake_candidates.pyとしてC:\ai-voiceへ保存します。実際の作業フォルダーで使用している多数のプロンプト、評価指標、自動選択、再開処理は含めていません。
from pathlib import Path
import soundfile as sf
from voxcpm import VoxCPM
output_dir = Path("voice_candidates")
output_dir.mkdir(exist_ok=True)
model = VoxCPM.from_pretrained("openbmb/VoxCPM2", load_denoiser=False)
voice = (
"(A clear and friendly fictional Japanese voice, warm medium pitch, "
"natural pace, easy to listen to for long streams, no imitation of a real person)"
)
test_line = "こんにちは。今日も一緒に、ゆっくり始めよう。"
for take in range(3):
wav = model.generate(
text=f"{voice}{test_line}",
cfg_value=2.0,
inference_timesteps=10,
)
sf.write(output_dir / f"candidate_{take + 1}.wav", wav, model.tts_model.sample_rate)VoxCPM2公式Cookbookで、Voice Designの指示に対応すると明記されている言語は英語と中国語です。日本語は読み上げる本文の言語として対応していますが、日本語による声質指示は公式対応と確認できません。そのため、声質の指示には英語または中国語を使い、読み上げる本文だけを日本語にします。
実行します。
.\.venv\Scripts\python.exe .\make_candidates.py同じ指示でも生成結果は毎回少し変わります。3本を聴き、方向性が違う場合はプロンプトを一度に1項目だけ変更します。
候補の選び方
| 確認項目 | 聴くポイント |
|---|---|
| 声質 | キャラクターのイメージに合うか |
| 長時間の聞きやすさ | 高音や息が強すぎないか |
| 発音 | 母音が崩れず、日本語として聞き取れるか |
| ノイズ | サー音、クリック、機械的な揺れがないか |
| 再現性 | 同じ条件の複数テイクで大きく別人にならないか |
| 類似性 | 特定の実在人物を連想するほど似ていないか |
気に入った1本を、元ファイルを残したままreference_voice.wavとしてコピーします。コピー元、プロンプト、生成日時も一緒に保存してください。
手順3:学習用の文章を用意する
Style-Bert-VITS2公式READMEは、2〜14秒程度の音声ファイルを複数用意し、それぞれの書き起こしを付けると説明しています。
初心者は、まず50〜100文で小さく試し、問題がなければ増やします。最初から数百件を生成すると、プロンプトや保存形式の間違いに気付くまで時間がかかります。
文章は次の音を偏らせないように作ります。
- あ・い・う・え・おの母音
- か行からわ行までの一般的な音
- 濁音、半濁音、拗音、促音
- 数字、英字、固有名詞
- 疑問、説明、短い感嘆、落ち着いた長文
収益化動画で読み上げる可能性がある文章は、自作するか、利用条件を確認した文章を使います。小説、台本、ゲームのセリフを無断で大量に転用しないでください。
サンプルコード
まずは動作確認用の5文をtraining_texts.txtへ保存します。次をmake_training_texts.pyとしてC:\ai-voiceへ保存してください。
from pathlib import Path
texts = [
"おはよう。今日の予定を確認しよう。",
"コメントを送ってくれて、ありがとう。",
"次は設定画面を一緒に見てみよう。",
"その方法なら、落ち着いて進められそうだね。",
"分からないところは、もう一度確かめよう。",
]
output_path = Path("training_texts.txt")
output_path.write_text("\n".join(texts) + "\n", encoding="utf-8")
print(f"{len(texts)}文を{output_path}へ保存しました。")PowerShellで実行します。
.\.venv\Scripts\python.exe .\make_training_texts.py5文をtraining_texts.txtへ保存しました。と表示され、同じフォルダーにテキストファイルが作られれば成功です。最初はこの5文で音声生成まで確認し、問題がなければ文章の重複や読みの偏りを確認しながら50〜100文へ増やします。
手順4:基準音声から学習用WAVを作る

VoxCPM2では、reference_wav_pathへ基準音声を指定し、その音色を再現することを狙いながら別の文章を生成できます。生成ごとに差が出るため、同じ声になることを保証する機能ではありません。
最小構成のサンプル
次は、手順3で作ったtraining_texts.txtを読み込み、NormalスタイルのWAVを作る例です。本番用の数百文、自動再試行、複数候補比較、音響指標の選別は省略しています。
from pathlib import Path
import soundfile as sf
from voxcpm import VoxCPM
texts = [
line.strip()
for line in Path("training_texts.txt").read_text(encoding="utf-8").splitlines()
if line.strip()
]
model = VoxCPM.from_pretrained("openbmb/VoxCPM2", load_denoiser=False)
output_dir = Path("training_audio/Normal")
output_dir.mkdir(parents=True, exist_ok=True)
for number, text in enumerate(texts, start=1):
wav = model.generate(
text=text,
reference_wav_path="reference_voice.wav",
cfg_value=2.0,
inference_timesteps=10,
)
sf.write(output_dir / f"normal_{number:03}.wav", wav, model.tts_model.sample_rate)感情スタイルを増やす
最初はNormalだけで声質を安定させます。その後、スタイル用の指示を文章の先頭へ追加し、フォルダーを分けます。
| フォルダー | 目的 | 注意点 |
|---|---|---|
| Normal | 基準となる通常発話 | ほかのスタイルとの比較基準にする |
| Happy | 明るい喜び | 叫び声にしない |
| Excited | テンションの高い発話 | 音割れと早口を確認 |
| Sad | 悲しみ | 小さすぎる音を無理に増幅しない |
| Annoyed | 苛立ち | 攻撃的な内容ではなく声色を学ばせる |
| Whisper | ささやき | ノイズと無音判定に注意 |
| Surprised | 驚き | 語頭の破裂音とピークを確認 |
フォルダー名がそのままStyle-Bert-VITS2のスタイル名になります。7スタイル×70文なら490件ですが、これは絶対条件ではありません。最初は各スタイル5件で試し、違いが出ることを確認してから増やします。
手順5:生成したWAVを検査する

学習データは、数より品質が重要です。次の順番で確認します。
- ファイルが開けるか
- 書き起こしどおりに読んでいるか
- 音割れ、ノイズ、途切れがないか
- 基準音声と同じキャラクターに聞こえるか
- 指定した感情がNormalと区別できるか
- 長さが極端ではないか
音量をそろえ過ぎない
SadやWhisperは、Normalより小さいこと自体がスタイルの一部です。すべてのWAVを同じ大きさへ持ち上げると、ノイズまで増え、感情差も弱くなります。
おすすめは、上限を超えた音声だけ下げ、静かな音声を自動で増幅しない方法です。今回確認した作業フォルダーでも、この方式でピーク上限をスタイル別に調整し、元より大きくする処理は行っていません。
自動判定を導入する場合も、最終的にはヘッドホンで試聴します。波形の数値が正常でも、読み間違い、別人化、不自然な感情は残るからです。
実データで確認した品質検査例
2026年8月14日に実際の作業フォルダーを確認したところ、次の状態でした。
| 項目 | 確認結果 |
|---|---|
| 使用モデル | openbmb/VoxCPM2 |
| VoxCPMパッケージ | 2.0.2(実作業時)。この記事の新規導入手順は同日時点のPyPI版2.0.3へ固定 |
| 出力サンプルレート | 48kHz |
| 計画したデータ数 | 7スタイル×70文=490件 |
最終的にesd.listへ採用した件数 | 469件(うち34件はSad・Whisperのスタイル差に関する警告付き) |
| 音量処理 | 上限を超えた音声だけ下げる方式 |
| 学習後に確認できたもの | config.json、複数のsafetensors、style_vectors.npy |
予定数へ無理に合わせず、破損や明確な読み間違いなどを除外した469件を採用しました。ただし、このうち34件にはSad・Whisperのスタイル差が弱いという品質警告が残っています。469件は最終的な採用数であり、全件が厳格な品質条件を満たしたという意味ではありません。
上記はフォルダー内の生成物と記録を確認した結果です。この確認時に490件の再生成や再学習を最初から実行したわけではありません。
元データを上書きしない
生成条件を変えてやり直すときは、次のように別フォルダーへ出力します。
training_audio_v1/
training_audio_v2/
training_audio_v3/合格条件、プロンプト、モデルバージョン、WAVのハッシュを記録すると、中断後の再開や差分確認が楽になります。同名ファイルがあるだけで処理を飛ばすのではなく、設定と音声内容が一致する場合だけ再利用します。
手順6:Style-Bert-VITS2をインストールする
※ 以下のGPU・環境は、この記事の標準インストール手順ではStyle-Bert-VITS2の学習に使用できません。
| GPU・環境 | 使用できない理由 |
|---|---|
| GeForce RTX 50シリーズ | Blackwell世代のGPUです。現行のStyle-Bert-VITS2公式インストーラーが導入するPyTorch 2.4未満・CUDA 11.8版はBlackwellに対応していません。最低でもPyTorch 2.7・CUDA 12.8以降に入れ替える別対応が必要になるため、この記事では対象外とします |
| RTX PRO Blackwellなど、その他のBlackwell世代NVIDIA GPU | RTX 50シリーズと同じ理由で、公式インストーラーのPyTorch・CUDA構成では動作しません |
| AMD Radeon、Intel Arc | Style-Bert-VITS2の公式学習手順はNVIDIA CUDAを前提としているため、この記事の方法では学習できません |
| NVIDIA GPUを搭載していないPC | CPU版では音声合成とモデルのマージはできますが、Style-Bert-VITS2の学習はできません |
RTX 50シリーズやRTX PRO Blackwellは、GPU自体がStyle-Bert-VITS2で使用できないわけではありません。PyTorch 2.7公式発表では、Blackwell対応とCUDA 12.8版が案内されています。今回のRTX 5080環境でもPyTorch 2.7.1・CUDA 12.8・sm_120対応の別構成で動作を確認しましたが、依存関係の調整が必要なため、その移行手順はこの記事では扱いません。以下は、上の※に当てはまらないNVIDIA GPU環境向けの手順です。
初心者は、公式READMEのWindows向けzipを使う方法が分かりやすいです。
- Style-Bert-VITS2公式リポジトリを開く
- READMEの「GitやPythonに馴染みが無い方」にあるzipをダウンロードする
C:\Style-Bert-VITS2のような、日本語・空白を含まない場所へ展開する- 上の※に当てはまらないNVIDIA GPUを使う場合は
Install-Style-Bert-VITS2.batを実行する - インストール後にエディターが起動することを確認する
既存のPython環境へ直接インストールせず、VoxCPM2用とStyle-Bert-VITS2用を分けます。PyTorch、CUDA、音声処理ライブラリの要件が異なる場合があり、依存関係の競合を避けるためです。
この時点でダウンロードされるデフォルト音声モデルには、それぞれ別の利用規約があります。動作確認に使う場合でも、公開・収益化前にモデル固有の条件を確認してください。この記事の最終目的は、自分で作ったデータから別モデルを学習することです。
手順7:データセットを配置する
モデル名をmy_vtuber_voice_v1とする場合、分かりやすい構成は次のとおりです。
手順4で作成したtraining_audio\NormalなどのWAVを、対応するraw\Normalなどのフォルダーへコピーします。掲載したサンプルコードが作るのはNormalの動作確認用5件だけです。ほかのスタイルは声質の差を試聴しながら別途生成し、採用する各WAVについてesd.listへ1行ずつ書き起こしを登録します。
Style-Bert-VITS2/
└─ Data/
└─ my_vtuber_voice_v1/
├─ raw/
│ ├─ Normal/
│ ├─ Happy/
│ ├─ Excited/
│ ├─ Sad/
│ ├─ Annoyed/
│ ├─ Whisper/
│ └─ Surprised/
└─ esd.listesd.listは、WAVと正しい文章を結び付ける一覧です。
Normal/normal_001.wav|my_vtuber_voice_v1|JP|おはよう。今日の予定を確認しよう。公式の学習画面実装の説明どおり、先頭のパスはrawフォルダーからの相対パスです。raw/は書きません。ここへraw/Normal/...と書くと、前処理後のパス補正でData/<モデル名>/wavs/raw/Normal/...を探す形になり、WAVを見つけられません。
書き起こしが1文字違うだけでも学習品質へ影響します。自動文字起こしを使った場合は、次を重点的に修正します。
- キャラクター特有の一人称
- 固有名詞
- 長音、促音、小さい「ゃ・ゅ・ょ」
- 句読点
- 英数字の読み
手順8:前処理と学習を行う

初心者向けの進め方
Train.batを実行する- 作成したモデル名を選ぶ
- 前処理だけを先に実行する
- エラーがないことを確認する
- 小さなバッチサイズで学習を開始する
- 定期的に保存されるチェックポイントを残す
- 複数のチェックポイントから同じ文章を生成し、耳で比較する
VoxCPM2が出力した48kHzのWAVは、Style-Bert-VITS2の自動前処理で44.1kHzへ変換されます。元の音声はrawへ残り、学習にはwavs側へ作られた44.1kHzの音声が使われます。
学習画面の項目や既定値はバージョンで変わります。最初は大きなステップ数を目標にせず、音声が生成できるところまで小さく試します。
lossが低ければ完成ではない
学習グラフのlossが下がっていても、次の問題が起こることがあります。
- 学習文だけは上手に読めるが、未知の文章で崩れる
- ノイズまで覚える
- 感情を強くすると別人のようになる
- 発音が機械的になる
- 長文の途中で速度が不安定になる
最終モデルは、数値だけでなく音声で選びます。最後のチェックポイントより、途中のモデルの方が自然な場合もあります。
手順9:スタイルを作成して試聴する
Style-Bert-VITS2は、学習フォルダーを分けておくと、Normalなどのスタイルを作成できます。さらに、公式READMEによると、フォルダーから作られるスタイルとは別に、既定のNeutralも自動生成されます。この記事の7フォルダー構成なら、画面にNeutralを含む8スタイルが表示されても異常ではありません。学習後はApp.batまたは音声合成エディターを起動し、同じ文章で比較します。

試聴用の文章は3種類用意します。
| 種類 | 例 | 分かること |
|---|---|---|
| 短文 | 「ありがとう!」 | 語頭・語尾、瞬間的な感情 |
| 説明文 | 「次の画面では設定を確認します。」 | 通常発話の安定性 |
| 長文 | 3〜5文の配信用原稿 | 速度、音量、聞き疲れ、破綻 |
確認するのは次の3点です。
- スタイルを変えても同じキャラクターに聞こえるか
- Normalとの差が分かるか
- 配信のBGMやゲーム音の中でも聞き取れるか
感情差が弱い場合は、強度パラメーターを上げる前に、学習用WAVそのものへ十分な違いがあるか確認します。
作成したモデルの応用方法
完成した音声モデルは、AI VTuber以外にも活用できます。文章とスタイルを指定して音声を書き出せるため、用途に合わせて次のように応用できます。
| 用途 | 活用例 | 向いているスタイル |
|---|---|---|
| AI VTuber・ライブ配信 | AIの返答、コメントへの反応、配信中の案内 | Normal、Happy、Excited、Surprised |
| 解説動画・チュートリアル | 操作手順、製品紹介、技術解説のナレーション | Neutral、Normal |
| ゲーム・アプリ | キャラクターの会話、チュートリアル、システム音声 | Normal、Happy、Sad、Annoyed |
| 音声作品・ポッドキャスト | 一人語り、短い会話、コーナー案内 | Neutral、Normal、Whisper |
| ローカルAIアシスタント | 時刻、予定、処理結果、エラー内容の読み上げ | Neutral、Normal |
最初は短い文章を手動で生成し、発音と音量を確認する使い方がおすすめです。安定してから、チャットAIや自作プログラムと連携して自動読み上げへ広げます。
用途を変える場合も、学習に使った文章や参照音声の利用条件が変わるわけではありません。動画、ゲーム、音声作品、配信など、公開先や販売方法に合わせてライセンスと権利関係を再確認してください。
収益化・公開前のチェックリスト

- [ ] VoxCPM2、Style-Bert-VITS2、事前学習モデルの現在のライセンスを確認した
- [ ] 確認したURL、日付、バージョンを保存した
- [ ] 実在人物の名前をVoice Designへ入れていない
- [ ] 参照音声は自分の声、または商用用途まで許諾された声である
- [ ] 学習文の利用条件を確認した
- [ ] 他人の音声モデルを無断でマージしていない
- [ ] 概要欄やプロフィールにAI合成音声であることを表示した
- [ ] 詐欺、なりすまし、偽情報へ使わない
- [ ] 公開環境のBGM・ゲーム音と合わせて試聴した
- [ ] モデルを配布・販売する場合はAGPL-3.0の義務を再確認した
表示例は次のように簡潔で構いません。
このAI VTuberの音声には、ローカル環境で作成したAI合成音声を使用しています。よくある失敗と対処
torch.cuda.is_available()がFalse
CPU版PyTorchが入っているか、GPUドライバーとPyTorchのCUDA対応が合っていない可能性があります。VoxCPM2用の仮想環境を有効化した状態で、PyTorchのバージョンとGPU名を確認します。
GPU名は出るが、生成時にCUDAエラーになる
新しいGPUへ古いPyTorchビルドを使っている可能性があります。特にRTX 50シリーズでは、対象アーキテクチャを含むPyTorch/CUDA環境が必要です。CUDA available: Trueだけで完了とせず、1本のWAV生成をスモークテストにします。
候補を作るたびに別人になる
Voice Designの条件を増やし過ぎず、声の高さ、速さ、明るさを固定します。同じ条件で複数テイクを作り、安定した方向から1本を選びます。
学習後の声がこもる・ノイズが増える
学習前のWAVへノイズや小さすぎる音声が混ざっていないか確認します。全ファイルを同じ音量へ持ち上げる処理も見直します。
HappyとNormalの違いが分からない
スタイル名だけを分けても、元音声が同じなら差は学べません。文章内容、話速、ピッチ、エネルギーがNormalと区別できる音声を用意します。
予定した件数をすべて採用できない
問題ありません。不足分を破綻音声で埋めるより、合格データだけで一度学習し、足りないスタイルを後から追加する方が安全です。
この方法が向いている人・向いていない人
| 向いている | 向いていない |
|---|---|
| 既存キャラクター音声に依存せずAI VTuberの声を作りたい | すぐに1クリックで完成させたい |
| NVIDIA GPU搭載PCを持っている | GPUがなく、短時間で数百音声を作りたい |
| データ検査と試聴へ時間をかけられる | 他人の声を許可なく再現したい |
| モデルや規約の記録を残せる | 学習済みモデルを条件確認なしで販売したい |
| 将来、感情スタイルや読み方を調整したい | 声の法的な唯一性を保証してほしい |
まとめ
VoxCPM2とStyle-Bert-VITS2を組み合わせると、対応PCをすでに持っている人は、追加のソフト利用料なしでAI VTuber用の音声モデルを作れます。
重要なのは、生成ボタンを押すことより、次の4点です。
- 実在人物を模倣しない声の設計
- 参照音声、学習文、モデルの権利確認
- 破綻したWAVを学習へ入れない品質検査
- 公開時のAI音声表示とライセンス記録
「Apache-2.0だから何をしても大丈夫」「自分で生成したから必ず完全オリジナル」と考えず、ソフト、モデル、入力、出力を分けて確認することが、商用利用できる音声制作の土台になります。
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- AI VTuber 2人を1台のPCで喋らせる|音声・VTube Studio・字幕の設計
公式資料
- OpenBMB / VoxCPM公式リポジトリ
- VoxCPM公式インストール資料
- VoxCPM2公式モデル資料
- PyPI版VoxCPM
- openbmb/VoxCPM2モデルカード
- VoxCPM2の商用利用・参照音声に関する公式リポジトリIssue
- Style-Bert-VITS2公式リポジトリ
- Style-Bert-VITS2の学習画面実装(`esd.list`のパス仕様)
- Style-Bert-VITS2:お願いとデフォルトモデルの利用規約
- Style-Bert-VITS2 JP-Extra事前学習モデル
公式資料とライセンスは更新される可能性があります。この記事は2026年8月14日時点の確認内容です。公開・販売時にはリンク先を再確認してください。

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